CheatCut.hatena

noise&randomness

出版業界の縮小傾向について

出版の売り上げが下がっているみたいですね。反面、出版点数はそれほど減ってはいないらしいです。
現代の人びと、ここで言う現代の人びとというのは、ざっと西暦2000年以降の人びとの事ですが、現代の人びとが情報を求めていながら、本は求めていない、ということになりますか。
文学をはじめとして、本の形態に収まっているものでは満足しないという事なんでしょう。値段も含めて。
出版業界の縮小傾向は、ネットのせいばかりでもないでしょう。まずは、編集がサラリーマン化してしまったのがひとつ、要因としてあげられています。でも、これは、いつの時代、どの業界でも言われることに近い。
ただ、編集は、特殊な職業であることを忘れているかもしれない。待遇面や生活面もそうだが、何よりスピリット、仕事としても、「怒られない」ような誌面づくりをしがちになっている。
本屋を大切にしてこなかったというのは、少なからずあるでしょう。
いまや、宣伝よりも、書店店頭でのPOPで購入を決めることが多くなっているらしい。そうすると、デザイナーとは、なんなのか、ということにもなって来るが、編集が書店にあいさつ回りをしなくてはならなくなっている。
今や、本の読者が、既に読者ではなく、消費者でしかないんじゃなかろうか。消費者という概念が定着したのは、いつごろからだろうか。20世紀からだろうか。やはりそのころのアメリカからでしょうか。
出版業界だけではなく、社会全体にしても、消費者でない他人を想定するのは難しくなっていますね。コンサル業が流行っていますが。
「地域創生」や「産学共同」と言って、地域を活性化して、人を呼び込もうとしているのだが、その「人」というのは、消費者の事でしょう。
観光にしても、よそからきて、イベントに参加し、おいしいものを食べてもらい、お土産を買って行ってもらいたい。それが観光化。
「マレビト」ですよね。マレビトの力が経済力ですから。現代は。単なる消費者。どうも、他人を消費者としてしか想定できなくなっている。グローバリゼーションの成れの果て。
「消費者」相手の商売は、いかにたぶらかすかどうかだけになってしまいます。一万人の来場者があったら、翌年は、一万五千人にする必要があるんですかね。

書き言葉を発展させるのはどこの業界なのか

書き言葉を支えているのは、出版業界なわけで、それが縮小してゆけば、国語が消えてゆきます。テレビの影響で方言が消えて行ったように。
国語が消えてゆくということは、日本人としての、とは言うにまたず、その人のアイデンティティが薄まっていくということですよ。
WEB上の文章は、データを情報化したもので、マニュアルを求める消費者にとってはそれで十分なのかもしれない。
でも、「編集」の目を通していない文章が増えていくと、自分をますます目的に対する手段と化すような、機能としての人間に、みずからなってゆくでしょう。
ものにキャッチコピーを必要としていない。雑誌に本文がいるのか。消費者が求めるのは、効率だから、「分かりやすい」情報、説明文だけがあればいいということになってしまいます。

雑誌の自由さ

昔は、たとえばポパイあたりでも、見開きぎっちぎちに本文が組まれていて、9級くらいの文字で、たぶんライターが文字数を間違えて、デザイナーがやけになって組んだとしか思えないような紙面がありました。
でも、読者としては、それを読むんですよ。イラストを入れるところがないから、70パーセントの網かけて背景に持っていくしかないような上に描かれた文章を。
それが「読者」でしょう。好きな雑誌なら、多少の困難は気にしないという。
やはり内容なんだと思います。カタログなら、WEBで十分でしょう。
編集が好きで作っているかどうか。
例えば、ポパイで「デザイン・オブ・ザ・イヤー」として、グッドデザインの特集をしていたが、美術雑誌でもないのに、ポパイがやる。それで、ポパイしか読んでないような、高校生、大学生に、新たな世界を示す。それが雑誌。

書籍というものは、ある程度、目当てを持って開くから、その期待に応えるものでなくてはならない部分もあるでしょうが、雑誌は読者がいまだ見ぬ世界を示す役割もある。それをファッション雑誌だからファッションを、美術雑誌だからアートをというのは、雑誌の姿を編集自身が分かっていないと言えます。
別に、東京人が椅子特集をしても、ノンノが建築特集をしてもかまわないと思いますが。見る側は、「これは編集が好きでやっているんだな」と思うわけです。
WEBによって最も影響を受けたのは、いわゆるグラビア雑誌でしょう。
世界中でWEB上で最も閲覧されているのはポルノらしいですから。
ところで、グラビア雑誌は、別にアイドルの水着姿ばかりが並んでいるのではなく、コラムや企画記事が少なからず入っていたんですよ。意外とレベルの高い人が書いていて、グラビア雑誌なら、批判が来ないから、かえって好き勝手に書いていたんですね。WEB上の画像はそれがない。寄り道がまったくないですね。
消費者は寄り道をしない。したがらない。少ない手数(クリック数)で目的のものを手に入れたがる。デザイナーは、それをもとにデザインをする。
それが、今はやりのデザインであり、広告をはじめとした媒体の姿になっている。
ものごとに「遊び」を入れてやらないと。