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【解説芸】シンデレラ

シンデレラの話はどういうものであったかな、と『青空文庫』で読んでみました。 

水谷まさる シンデレラ


まず、冒頭に詩があります。


シンデレラを讃たたう

神につながる心持つ
世にも可憐なシンデレラ
雨風つよくあたるとも
心の花は散りもせず。

魔法の杖の一振に
たちまち清き麗姿あですがた
四輪の馬車に運ばれて
夢のお城へいそいそと。

時計の音におどろいて
踊る王子のそば離れ
あわてて帰るその時に
脱げたガラスの靴ひとつ。

靴は謎とく鍵の役
捜し出されたシンデレラ
お城に迎え入れられて
心の花ぞかがやきぬ。

 

美しい詩です。

この後、多くの人が知っているお話に入るのですが、シンデレラのお話、この詩だけで十分な気がします。

元をあたってみました。

現在のシンデレラの下になった物には、グリム兄弟によるものと、シャルル・ペローによるものが知られています。

シンデレラは、仏語で『サンドリヨン(仏: Cendrillon)』、『灰かぶり姫』という事です。

青空文庫では、ペロー(楠山正雄訳)の

灰だらけ姫またの名「ガラスの上ぐつ」

が読めます。

ペロー Perrault 楠山正雄訳 灰だらけ姫 またの名「ガラスの上ぐつ」


グリムの方も読めます。

グリム兄弟 Gebruder Grimm 大久保ゆう訳 アッシェンプッテル ASCHENPUTTEL ―灰かぶり姫のものがたり―


さらに古い物も伝わっていますが、近い物は、グリムかペローです。
グリムの方では魔法使いが登場せず、ガラスの靴も脱げてしまったのではなく、

「シンデレラが靴を階段に残したのは偶然脱げたのではなく、王子があらかじめピッチ(ヤニ)を塗って靴が絡め取られたから」wikiより

だそうです。

魔法使いが出た方がロマンがあるので、ペローの方を読みました。

 
まずは、シンデレラの境涯が語られます。
続いて、お城から舞踏会の招待状が届いて継母たちが出かけてしまった後の場面です。


いよいよすがたが見えなくなってしまうと、いきなりそこに泣きふしてしまいました。
 そのとき、ふと、サンドリヨンの洗礼式せんれいしきに立ち合った、名づけ親の教母きょうぼが出て来て、むすめが泣きふしているのを見ると、どうしたのだといって、たずねました。
「わたし、行きたいのです。――行きたいのです。――」こういいかけて、あとは涙で声がつまって、口がきけなくなりました。

 

シンデレラ、口では何も言いませんでしたが、ものすごく行きたかったみたいです。舞踏会に。

この後、最初の山場、魔法使いが南瓜の馬車を拵えて、シンデレラが舞踏会に行きますが、ペローの話では、舞踏会は二晩続けて催されます。
初日は、シンデレラ、ちゃんと時計を気にしつつ零時の鐘が打つ前に会場を去ります。

姉たちは、後から帰って来るんですね。
その場面です。

 

「まあ、ずいぶん長く行っていらしったのね。」と、サンドリヨンはさけんで、あくびをして、目をこすって、のびをしました。
それは、うたたねをしていて、たった今、目がさめたというようなふうでした。
けれど、じつはふたりが出て行ってから、サンドリヨンは、まるっきりねたくもねられない気持だったのです。

この辺は、サンドリヨン、演技しています。
もちろん、姉たちを油断させるためです。

 

さらに、心に余裕ができたのか、サンドリヨン、こんなことを言います。

「まあ、その方、どんなにお美しいでしょうね。ねえさまたち、いらしって、ほんとうによかったのね。わたし、その方見られないかしら。まあねえ、ジャボットねえさま、あなたのまい日着ていらっしゃる、黄いろい着物を、わたしにかしてくださらないこと。」といいました。

それに対して姉A。
「まあ、あきれた。」と、ジャボットはさけびました。「わたしの着物を、おまえさんのようなきたならしい、灰のかたまりなんかに、かしてやられるもんか。ひとをばかにしているよ。」
サンドリヨンは、いずれそんな返事だろうとおもっていました。それで、そのとおりにことわられたのを、かえってありがたくおもっていました。
なぜといって、きょうだいが、じょうだんをいったのを真まにうけて、着物をかしてくれたら、どんなになさけなくおもったでしょう。

この辺、なめて遊んでいます。

あくる晩も舞踏会です。

王子は、しじゅうサンドリヨンのそばにつきっきりで、ありったけのおせじや、やさしいことばをかけていました。それがサンドリヨンには、うるさいどころではありませんでしたから、ついうかうか、妖女ようじょにいましめられていたことも忘れていました。それですから、まだまだ時計が十一時だと思ったのに、十二も打ったのでびっくりして、ついと立ちあがって、めじかのようにはしっこくかけ出しました。

この日は時を忘れて、零時を知らせる鐘の音と共に脱兎のごとく駆け出した挙句に靴を忘れてしまいます。
この後、忘れた靴に合う人を探すのですが、シンデレラの家の場面、まず義理の姉たちは足に合いません。
それを見たシンデレラです。

サンドリヨンは、そのとき、わきで見ていますと、それはなんのこと、じぶんの半分おとしてきた上うわぐつでしたから、ついわらい出してしまって、
「かしてくださらない。わたしの足にだってあうかもしれないから。」といいました。

こみ上げてくる勝利の笑とともに、それまでの境涯を抜け出した瞬間です。

さて、ペローは、
顔とすがたの美しいことは、男にも女にも、とうといたからです。でも、やさしく、しおらしい心こそ、妖女のこの上ないおくりものだということを知らなくてはなりません。
と言う文で結んでいます。

少しイメージと違いました、シンデレラ。

特に、
王子さまはずっとシンデレラのそばにいて、いつもやさしいことばをささやいてくれました。あまりにもたのしかったものですから、シンデレラはじかんのことなんて、すっかりわすれていました。いまは、十一じくらいかな、とぼんやりおもっていたのです。

と、言うところから、シンデレラの生活は、やがてアンニュイに覆われるだろうと想定することは想像に難くありません。

このような意志の強く、機転の利くような者がお城の生活に満足するはずはない気がしました。
シンデレラは後悔しなかったのでしょうか。
魔法の力があれば、もっと何かをできたのではないかと。

 

シンデレラの現代にそぐわない部分は、王子に個性がない所もあるかと思います。

そこで、ドリフの大爆笑ではありませんが、『もしもシリーズ』を作ってみました。

もしもシンデレラの王子様があの印度の王子だったら - CheatCut.hatena