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文芸

もしもシンデレラの王子様があのデンマークの王子だったら

ある梅雨の日、シンデレラは、アンニュイに悶々としながら肘かけにもたれていました。 あの運命の舞踏会から十年、王子は王になり、シンデレラは王妃となっていました。 しかし、その生活はシンデレラが思うものとは違っていました。 豪華な調度品、きらびや…

【解説芸】シンデレラ

シンデレラの話はどういうものであったかな、と『青空文庫』で読んでみました。 水谷まさる シンデレラ まず、冒頭に詩があります。 シンデレラを讃たたう 神につながる心持つ世にも可憐なシンデレラ雨風つよくあたるとも心の花は散りもせず。 魔法の杖の一…

もしもシンデレラの王子様があの印度の王子だったら

ある春雨の日、シンデレラは、アンニュイに悶々としながら肘かけにもたれていました。 あの運命の舞踏会から十年、王子は王になり、シンデレラは王妃となっていました。 しかし、その生活はシンデレラが思うものとは違っていました。 豪華な調度品、きらびや…

東京日記

明治神宮の井戸にとびこんだ話 原宿駅で電車を降りて 明治神宮の大鳥居の真んなかをくぐった 鎮まった砂利道を歩いていたら 耳をつんざく音がして 三機の飛行機が急降下した 降りて来ると思ったらおれれ目がけて飛んで来た 恐ろしくなって 近くにあった加藤…

小説;自己忘却セミナー

一 夕方五時の放送が響く。破(わ)れたスピーカーの音に続いて、夕焼け小焼けの曲が流れる。 「何だあの音は!」と男が撥ね上がった。 「何だって、五時だろ」 相手の男はちゃぶ台を挟んで答えた。こちらは心持鉤のある鼻を、スポーツ新聞に向けたままである…

短い小説:幻花燈ーまぼろしのはなのともしびー

good to the taste 蒸篭の縁にからしを塗り添えて肉まんを食べていたら 同じ様に蒸篭に入って肉まんの向うに控えていたあんまんが「たまにはおれにもからしを塗ってくれ」と云う 肉まんをつまむ手を休めて あんまんに眼をやった 「くれ、くれ」 「あんこにか…

小説;『ブラボー親爺』  

『徒久゛多煮』と太く勘亭流で書かれた行燈が軒先にかかる。木枠のガラスケースには佃煮が並ぶ。佃煮に挿してある薄板には価とともに、『あさり』や『うなぎ』と書かれてある。くつがえった札が二枚ある。 店の奥、上がった六畳間にはちゃぶ台を差し挟んで親…

小説:Z(ツェット)氏のけしき

Z(ツェット)氏のけしき 一 坂の上にベンガラ色をした三角屋根の家があって、庭に植えた桃や梨の木が、黄色い物干台の高さまで伸びている。 日曜日、Z氏が物干台に立って洗濯物を干していた。 長四畳くらいの物干台には物干し竿が一本渡してある。 空は澄ん…

個人的な小説のルール

Master your instrument Master the music.And then forget all that bullshit and just play. -Charlie-Paarker- 小説が自分にとって、何のために存在するのかを知る。その目的に適っている事を書き、叶っていない部分は外す。自分が書きたい様に書くのでは…

Old essay

昔書いたエセーです。10年前。 楓の木は、一年に三寸しか伸びず、長するのに二十年以上もかかる。ゆっくりと伸びるために、木が固くなり、ゆがみが少なく、楽器に用いられる。 一万年前まで、今のアイルランドあたりで、巨大な角を持った鹿がいた。角がある…